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Introduction


ハセガワ テムジン ボックスアート 2003年10月のホビーショーでの企画立ち上げ発表から、11ヶ月の時間を経て遂に発売されたハセガワ製"TEMJIN 747J"。 8割がたアイボリーホワイトのパーツと300枚を超えるデカールと言うその製品仕様は、たちまち賛否両論の議論を巻き起こしました。 勿論、これは塗装を前提にした製品仕様であることは明らかです。 塗装派からは歓迎される一方、バンダイ的な色分けを期待していた向きからは失望の声が聞こえてきました。 しかし、バンダイ的で無いことは、バンダイのキットでは無いのですからむしろ当たり前のことだと言えます。 箱横のメーカー完成写真を眺めてください。 素晴らしいテムジンの姿がそこにあります。 このキットを手にしたあなたには、この完成品と同等のものを手に入れる可能性を手に入れたわけです。 どのようにすれば箱写真の様なテムジンを入手出来るのでしょうか? この箱写真を目標に、今回はいつもと趣を変えて、塗装作業を中心に解説致します。

まずはお約束

本稿で"A1"、"F11"等の表記は部品番号を指します。 また"工程12"等の表記は、組立説明書の組立工程番号のことです。 ”331番”等の表記はGSIクレオス社のMr.カラーの番号です。 #600等の表記は耐水ペーパーの番号のことです。 "φ1.5"は直径1.5mmという事です。  "インスト"とはインストラクションマニュアルの略で、組立説明書のことです。
塗料や道具については適宜説明します。

仮組み


修正箇所や塗装プランを練る為に、まずは仮組みをしてみます。 あくまでも「仮組み」ですので、もう一度分解することが前提です。 このキットはほとんどのパーツを接着剤無しで組み立てられる仕様になっています。 仮組みの際、パーツの合わせがきついパーツは分解し難いパーツと言うことですから、接合ピンを削るとか、場合によっては思い切って切り飛ばします。 最終的にパーツの接合には接着剤を用いますので、接合ピンは合わせのガイド程度の役になればそれで良いわけです。 かなり思い切って削除しても、大きな支障はありません。

HASEGAWA TEMJIN 747J C22 part 一部のパーツはランナーからの切り離しに注意が必要です。 ゲートが部品自体にまで食い込んでいるようなパーツ・・・例えばC22,C23は写真のように順を追ってゲートを切り離します。

アンテナパーツA37,A38も同様の処理を行います。 この手の処理ではなるべくエッジを無くさないようにすることが肝要です。

HASEGAWA TEMJIN 747J front side HASEGAWA TEMJIN 747J back side さて、とりあえずインスト通りに組み立ててみました。 見ての通りアイボリーホワイトのロボットで、バンダイのMGに慣れているとかなりの違和感・・・というか物足りなさを感じることと思います。 しかしここまで潔く色がついてないと、塗装でなんとかするしか無いという決心がつくことと思います。 

全体を眺めて、消す必要のある接合線を探します。 主に腕・脚・胸とスライプナーに接合線が出ます。 特に背面に接合線が多く出ますので注意が必要です。 このとき、全ての接合線を消すのか、目立つものだけを消すのか、プランを立てます。  ヒケのチェックもします。 それほど目立つヒケはありませんが、パッと目でわかる部分としてはマインドブースター部(C24,C25)、肘のピラミッド型(Y1)の部分と踵(17)部分、足首装甲前面の左下に若干ヒケが出ています。 これらも消す必要があるかどうか現物を見て検討しておきます。 また、膝間接部・足首装甲等、パーツの裏側が見えるところもチェックしておきます。

塗装プランもここで考えます。 塗装の段取りについては順を追って説明しますが、自分自身の塗装プランを充分に練っておきます。 また"後ハメ加工"を採用するべき場所を考えます。 胸部・脚部(足首)・スライプナーは後ハメ加工を行うことが出来そうです。

組み立て


バトロイドに続いて、本キットでもスナップフィット化への努力が成されています。 バンダイMGの様に、完全スナップフィット化とはいきませんが、出来る限り接着剤を使わないでも組み立てが出切るようにとの配慮のようです。 しかし残念ながらこのピンとダボ穴の位置関係の調節のツメがまだ甘く、部分的にかなりの段ズレが生じたりします。 正直なところ塗装派には無い方が良いというレベルです。 接着剤を用いて組む場合、接合ピンは全て切り飛ばしてしまっても構いません。 それでも殆どの部品はポリキャップを間に挟むことになりますので、接合ピンが無くても合わせに殆ど問題は無いと言って良いでしょう。

飛行機と違って、塗装しながら組み立てという場面は殆どありません。 インストの工程9および11〜16までを一気に行います。 但し、塗装の段取りの都合上、胸上面パーツA14,A15、足パーツD1,D2はこの段階では接着しません。

パーツとパーツは全て接着剤で完全に接着します。 タミヤセメント等の一般的な接着剤を接合面にたっぷりと塗り、部品同士を合わせます。 このとき接合した部分が溶けたプラスチックで若干盛り上がるくらいでOKです。

足首後面装甲の面取り接着した部品は24時間程度養生させます。 接着面はひけるので、あまり早くヤスリ掛けをして接合線を消そうとすると、後からうっすらと接合線が現れることになります。 充分に接着剤が乾燥してからヤスリ掛けをしますが、このときパーツの面取りに注意してください。 サンドペーパーを使用する場合は適当な大きさの当て木を使用するようにします。 面と面が直線でキリッと分かれていないと、ダルな印象になります。 写真は「絶対プラモヤスリタイラー」で処理したもの。 簡単に使用でき、なおかつ非常にシャープな仕上がりになり、お勧めです。 15mm幅の両面テープを用意しておけば、自分でヤスリ部分を取り替えて繰り返し使えます。

太もも前面装甲の面取り ヤスリ掛けの際には漫然とヤスリを部品に当てる様なことはせずに、パーツの面構成を良く見極めて行います。 左写真は太ももの前面装甲ですが、部品の分割ラインと面の分割ラインが異なることに注意してください。

足首内部メカ 部分的にパテで隙間を埋める必要が有るパーツもあります。 左写真の足首部等がそうです。 ここは完成時に背面側がわりと目立ちます。 写真ではパテはGSIクレオスのMr.溶きパテを使用しています。 適度な濃度で伸びも良く、作業性が非常に良いパテです。 牛乳パックを適当に切った物をパレットにして、そこに溶きパテを適量取り出して使用します。

ヒケの処理ヒケの処理も同時に行っておきます。 このキットに関しては致命的なヒケというのはありませんが、気づいた範囲で処理をしておきます。 殆どのパーツがアイボリーホワイトで成型されているので、この段階では見つけ難いヒケもあります。 その様なヒケは塗装フェーズで適宜修正していきます。

部分的ディテールアップ


ディテールの追加 ディテールアップという程の大げさなものでも無いのですが、見てすぐ判る部分として以下の部分に小修正を施しました。

  • A19の両サイドにある穴がありませんので、φ1.2程度の穴を彫ります。
  • 肩パーツC14,C15の外側の卵型モールドから上辺・下辺へと繋がるモールドが側面まで回り込んでいないので、気になるヒトは彫ると良いでしょう。
  • 太ももパーツA5〜A7、金型の向きの都合で背面側の筋彫りが省略されていますので、これも気になる場合は彫っておきます。


  • 間接部の塗装と一部組み立て


    インストでグレー(28黒鉄色+8シルバー)と指定されている間接部等の色を塗ります。 混色が面倒だったので、手元にあったMr.メタルカラーのアイアンを使用しました。 各々自分のイメージにあった色で塗ってください。

    脚部のマスキング 塗装が充分に乾燥したところで工程12の作業をします。 このとき足首部はあらかじめマスキングしてからC10,C11を接着します。 この段階ではD4は接着しません。 この部分はC10,C11が足首パーツを受ける部分を加工することで後ハメが可能になります。 私は強度的な不安感があったので、マスキングして組み立てる方を選びました。 しかし最終的にD4で前方からもホールドするので、実際には強度的な不安は無いようです。 後ハメ加工の方が正解だったかもしれません。

    脚部のマスキング 上腕部も同様に組み立て前にマスキングしました。 こちらも後ハメ加工は比較的簡単なので、後ハメ加工でもよかったかもしれません。 ただ個人的には間接部はポージング時に、かなり力がかかる部分ですからマスキングでなんとかなるなら、マスキングする方を選びます。


    工程24の腹部と工程26〜27の胸部の組み立てもここで行います。 首の基部パーツE30は接続タブを削除します。 これでA2,A3対して後から組み込みが可能になります。 先にも述べましたがA14,A15はこの段階では接着しません。
    腹部パーツA1とA4は上側のA2,A3との接合ピンになる上側のピンを切除して、後ハメ加工をしておきます。 工程27では腕基部をA2,A3で挟んで接着するところまでで、A21やG12,G13は取り付けません。

    次ページでは本格的な塗装フェーズに入ります。

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